JERAは、水素やアンモニアといったグリーン燃料のサプライチェーン構築に向けた体制を強化している。事業開発本部に「ゼロエミッション連携推進室」を7月1日付で新設し、社内外での連携に積極的に取り組む。同推進室は社外との連携について、サプライチェーンに関する戦略的パートナーとの関係づくりで中心的な役割を担う。関係部署と協働し、アライアンスの協議などを国内外の幅広い分野で進めていく。

 13人体制で発足した同推進室は、再生可能エネルギーや水力・環境保全、電力市場制度、LNG(液化天然ガス)に関する全ての事業領域の経験者、外資系資源企業出身者、技術開発部門など、幅広い人材で構成。燃料の上流から販売までのバリューチェーンで構築してきた業界内での地位と、運営スキルを最大限に活用し、グリーン燃料のサプライチェーンに関するグローバルリーダーを目指す。

 サプライチェーン構築には、国内外や業界内外の企業との連携が必要になる。まずは、2020年代に本格的な運用を目指す石炭火力発電所でのアンモニア混焼に向け、国外では国営企業や資源メジャーといった供給側のキープレーヤーとの協議を推進。国内では、電力会社に加え、業界を超えて協業できる事業者らとの連携も視野に入れている。

 一方、JERAはゼロエミッション火力の実現に向け、事業開発本部では本部長、副本部長、外国人の役員で構成する「ゼロエミッション・コミッティ」を設置。戦略から具体的な案件の検討まで、集中的に議論を進めている。

 同推進室は、ゼロエミッション・コミッティの事務局を担当。国内外の社内関連部門・拠点と連携し、グリーン燃料のサプライチェーン構築に向けた基盤づくりを進める。

 同推進室の大滝雅人室長は、「脱炭素を巡る世界的な動きが顕在化し、エネルギー業界への期待を強く感じている。誰も絶対的な正解を持っていない時代だからこそ、企業としても、個人としても大きく成長できる絶好の機会だ」と強調。今後に向け、「志を共にする方々と一緒に(脱炭素への)挑戦の道のりを確実に歩んでいきたい」と意気込んでいる。

電気新聞2021年7月27日