経済産業省・資源エネルギー庁は4月28日の有識者会合で、菅義偉首相が表明した2030年の温室効果ガス「46%減目標」と整合する次期エネルギー基本計画の検討に着手した。エネ庁は非化石電源の積み増しに向け、原子力再稼働のほか、一層の省エネ、地球温暖化対策推進法改正に伴う再生可能エネルギーの導入増などを想定する。野心的な目標に対し有識者からはこれまでの「積み上げ方式」ではなく、一定程度イノベーションの観点を加えるべきとの主張が目立った。水素・アンモニア火力の一層の導入などが想定される。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)で議論した。46%減目標について白石分科会長は「これまでとは発想を転換しなければ道筋を描くのも難しい。分科会にとってゲームチェンジだ」と強調。保坂伸・エネ庁長官は「最後の最後のところで(46%減に決まり)、正直受け身が取り切れなかった」と説明した。

 6月の先進7カ国(G7)首脳会議を見据え、新目標と整合を取るエネルギー政策を打ち出す方向。省エネでは、原油換算で800万キロリットル程度の深掘りを現状では想定している。さらに積み増せないか、30日の省エネルギー小委員会で議論。エネルギー需要の精査も鍵を握る。

 原子力は着実な再稼働を目指す。再生可能エネは現状、30年に2900億キロワット時程度が導入可能と試算。適地が限られる中、温対法改正による「促進区域」を活用した積み増しを目指す。

 水素・アンモニア火力は積み上げ作業の結果、30年に1%の電源構成を想定しているが、これを将来のイノベーションを見込んだ上で引き上げられないか検討を進める。

電気新聞2021年4月30日