経済産業省・資源エネルギー庁は12月7日、アンモニアの燃料導入拡大に向けた方向性を盛り込んだ「視点」を示した。石炭火力への混焼などを中心に、2020年代後半の商用導入に向け、「安定供給」「経済性」「環境」「海外展開」の4つを柱とした。アンモニア生産時の二酸化炭素(CO2)排出が課題の一つだが、当面は普及に重点を置く方針。状況を見つつ「ブルー」「グリーン」など、合理的なコストでのCO2抑制を進める。来年春までに開く次回会合で中間取りまとめとして正式決定する。

 7日に開いた2回目の「燃料アンモニア導入官民協議会」で提示した。4つの視点は、関係者が効果的にアンモニアの燃料導入を拡大できるよう作成。安定供給に向け、他資源と同様に調達先の政治的安定性や地理的特性に留意する。競争力向上へ原料調達、生産、輸送・貯蔵、利用、ファイナンスなどの面でコスト低減が重要だと指摘した。

 この他、アンモニア由来の電気が評価される環境整備を進める方向で、こうした点については7日の会合でJERAが求めた。加えて、アジアなどの脱炭素移行に貢献するため、技術やノウハウのアジア展開を推進するとともに、アンモニア事業に関する規格・標準化などの環境整備を視点として記した。

 エネ庁は、石炭火力への混焼や船舶、工業炉利用を脱炭素化に向けた選択肢の一つと捉えている。一方で、燃料としてのアンモニア利用が拡大した場合、既存の市場やサプライチェーンでは安定的に確保できない恐れがあり、諸課題を官民協議会で議論している。

電気新聞2020年12月8日