3社共通の仕様に統一した新型分割柱。中部エリアでは年内に導入開始する予定だ

 中部電力パワーグリッド(PG)、関西電力送配電、北陸電力送配電の3社は、配電線路に用いる新型の分割式コンクリート柱を共同開発した。従来の分割柱と比べ製造コストを抑えつつ、耐久性と建柱時の作業性を両立できる仕様に統一。3社共通の仕様にしたことで、大規模災害発生時には各社間での資材融通が可能となり、復旧作業の円滑化にもつながる。今後は運搬コスト低減や共同調達に向けた検討も進めていく方針だ。

 分割柱は運搬が容易で、住宅街など建柱スペースが狭い場所にも適応できる。関西エリアでは、既に分割柱を全面的に活用している。中部エリアでも年間約3千本を使用しており、年々、増加傾向にある。分割柱の導入を進める中で、調達コストや現場での作業性は各社共通の課題だ。

 今回開発した新型分割柱は、真ん中の接合部をボルトで固定するフランジタイプを改良した。全長16メートル柱では、上部と下部に分割する長さを各8メートルに設定。積み込み作業や運搬、保管管理を効率的に対応できる長さとしている。

 製造時には、上部と下部を同時に製造できる型枠を開発。従来は上下別々の型枠を使用し、分割柱1本当たり単柱2本分の製造時間がかかっていたが、単柱1本分と同等の時間で製造できる方法を確立した。

 建柱現場での作業効率化に向けては、接合部に用いるボルト本数の削減や、ダブルナットからシングルナットへの変更などを行った。耐久性が確保できることを確認した上で、施工時間の短縮を図っている。

 また、腕金を固定するための構造では、関西送配電が導入していた「貫通ボルト穴」に仕様を合わせた。Uバンドなどの固定金具が不要となり、作業効率化だけでなくコスト削減にもつながる。

 新型分割柱の開発は、中部電PGが隣接する関西、北陸の2社に声を掛け、2019年度に共同研究を開始。中部エリアでは2社に先駆けて、20年中にも新型分割柱の導入を開始する予定だ。中部電PG配電部配電技術グループの谷口晋也主任は、「他電力との仕様統一はレジリエンス(強靱性)強化にもつながる。他の用品でも仕様統一を図っていきたい」と話している。

電気新聞2020年11月5日