九州電力のネットワークを生かし、九州9拠点で迅速にドローンサービスを提供する

 九州電力では、2019年7月より法人のお客さま向けに「九電ドローンサービス」を開始した。本サービスは、ドローンで単純に空撮するだけでなく、お客さまのニーズにお応えできるよう様々なサービスメニューを用意するとともに、九州全域どこでも迅速な対応が可能であることを売りにしている。今回は九電ドローンサービスの事業化に至る経緯やサービスの内容、特長について紹介する。
 

電気設備点検などで活用したノウハウ生かし

 
 九電ドローンサービスは、「KYUDEN i―PROJECT」の取り組みの一つであり、「KYUDEN i―PROJECT」の中で唯一、本店と現場が連動して実施している事業である。本事業は、当社の強みを振り返る中で創出できた案件であり、若手層の精力的な活動とマネージャー層の強力な支援によって、現場を巻き込み、短期間で事業を立ち上げた事例だ。

 事業化に至る具体的な経緯を紹介する。九州電力では2015年からドローンの技術者育成、機材確保などを図り、電気設備の巡視・点検、災害発生時には被害状況確認のためにドローンを投入するなど、業務へのドローンの活用を進めてきた。九州電力ではこれまで蓄積したノウハウ・知見を生かせるとともに、ドローン市場の成長が見込めることなどから、それまで業務へのドローン活用を進めてきた情報通信本部ICT事業推進2グループを中心に、具体的な事業化の検討に着手した。その後、18年度に30社限定で試行サービスを実施した結果、「今後もサービスを利用したい」とお客さまからご好評の声を多く頂き、19年7月より事業を開始した。
 

最新技術を積極的に導入し、ニーズに応える

 

九電ドローンサービスのホームページ(画像をクリックするとホームページが開きます)

 九電ドローンサービスのメニューは、動画・静止画の空撮をはじめ、オプションメニューとして12K超高画質カメラや赤外線カメラによる空撮、映像編集や3D・オルソ画像作成がある。事業を開始して1年が経過した現在では、前述のメニューに加え、測量や360度パノラマVRサービス、農薬散布、グループ会社との協業による工場や道路の点検など、お客さまのニーズに応えられるよう様々なサービスも追加している。ドローンを取り巻く技術発展が著しい中、絶えず新たな技術を積極的に取り入れ、お客さまの課題解決に貢献できるようお客さまが求めるサービスを考え、提供している。

 また、九電ドローンサービスの強みとして以下の3つが挙げられる。

 1つ目は、九州全域をカバーする9つの拠点、オペレーター数120人、機体保有数90台という充実した体制。このため、自治体や法人のお客さまを対象に最寄りの事業所から速やかに駆け付け、休日を含めてお客さまのニーズに柔軟に対応している。

 2つ目は、DJI製のMatrice600、Flyability製のELIOS2などの産業用ドローンをはじめ、赤外線カメラ、12K超高画質カメラ、レーザースキャナー、3Dモデルやオルソ画像作成用のソフトウエアといった豊富な機材がある。これらにより測量や点検など多様なお客さまのニーズにきめ細かく対応できる。

 3つ目は、電力会社としてインフラの点検・巡視などを目的とした空撮でこれまで培ってきた安心・安全のノウハウ。万が一に備えて賠償責任保険にも加入している。

 九電ドローンサービスでは、「ドローンでお客さまの未来をカタチに」をスローガンに、「九電グループ経営ビジョン2030」で掲げる「九州から未来を創る九電グループ」の実現を目指していく。

電気新聞2020年8月31日

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