会合の冒頭にあいさつする梶山経産相(前列右から2人目。同3人目は分科会長の白石氏=13日、東京・霞が関)

 経済産業省・資源エネルギー庁は10月13日、第6次エネルギー基本計画策定に向けた議論を始めた。脱炭素化と安定供給両立の道筋をどう描くか、有識者が来年にかけて議論する。まず2050年にどれだけ脱炭素化に近づけるか課題を整理した後、現状の30年目標を検証する考え。キックオフとなった同日の会合では、委員から再生可能エネルギーや原子力の活用のみならず、水素、カーボンリサイクルなど、日本が強みを持つ技術の活用を訴える声が目立った。

 総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)で議論が始まった。梶山弘志経産相は冒頭、「菅新政権は脱炭素社会実現、安定供給に取り組むことが方針」と述べた上で、「日本のエネルギー政策は重要な岐路に立たされている。貿易立国が経済の礎である以上、グリーンと経済性の両立が必要」と活発な議論を求めた。

 第6次エネルギー基本計画策定に向け、まずはここ数年の環境変化を踏まえた“3E+S”を目指す上での課題を整理するとともに、50年に向けたエネルギー需給構造などを議論。その上で、30年に向けたエネルギーミックスの達成状況などを評価する意向。橘川武郎・国際大学大学院教授は、50年の方向性を明確にした後、「(非効率石炭火力の削減など)現実に即して30年の方向を変えていくべき」と訴え、議論の流れを歓迎した。

 資源の乏しい日本がコスト低減や安定供給を維持しながら、どういった手法で脱炭素化を実現するかが最大の論点となる。そのために原子力は欠かせず、多くの委員が一層の活用を訴えた。委員では山口彰・東京大学大学院教授が「原子力の活用を明確にするべき」と強調。その上で、既設炉の再稼働のみならず、新規発電所の建設推進を訴えた。

電気新聞2020年10月14日