フル稼働すると、1日当たり最大5㌧生産できる

 東京電力エナジーパートナー(EP)など3社の合弁会社が建設した植物工場でこのほど、報道陣向けの見学会が開かれた。7月1日に操業を開始して以降、レタスを栽培。8月17日に初出荷を迎え、現在は1日当たり約800キログラム分を主にコンビニのベンダー向けに出荷している。段階的に生産量を増やし、1年後にはフル稼働体制に入る。1日当たり最大5トンの生産量、年間十数億円の売り上げを目指す。

 東電EP、芙蓉総合リース、農業ベンチャーのファームシップ(東京都中央区、代表取締役=北島正裕氏、安田瑞希氏)の3社は昨年4月、彩菜生活合同会社を設立。同社が静岡県藤枝市に約9千平方メートルの植物工場を建設した。完全人工光型の植物工場としての生産能力は世界最大という。

 工場内は「育苗室」「栽培室」「洗浄室」「梱包(こんぽう)室」「冷蔵庫」に分かれる。育苗室では、まいた種に4時間ごとに散水し発芽。数日後、発芽した苗を養液に移し、LEDを照射しながら8日間程度育てる。その後、苗は栽培室に移され、20日ほどかけて一定のサイズに育てた後、出荷される。

 育苗室、栽培室ともに室温は21度に設定。LEDは1日当たり20時間以上、明期と暗期を繰り返しながら照射する。

 植物工場での栽培は天候不順の影響がなく、定時納品や安定供給などの面で信頼性が高いのが特長。衛生面にも配慮されており、栽培エリアでは常に衛生服を着用し、栽培エリアに入る前には手洗いや消毒などを徹底。工場内に掛けられている時計も、落ちてカバーが割れ破片がレタスに混入しないようカバーを外す徹底ぶりだ。

 植物工場は地元の雇用創出にも貢献。現在工場は一部しか稼働していないため全体で約70人、1日当たり約30人が働いている。今後1年かけて工場をフル稼働させる予定で、それに合わせて雇用も増やす。

 また、顧客ニーズを踏まえレタス以外の栽培も検討するが、「まずはレタスの生産安定化を図る」(水口明希・彩菜生活合同会社社長)としている。

電気新聞2020年8月27日