Jパワー(電源開発)は30日、広島県竹原市で建設していた竹原火力発電所新1号機(石炭、60万キロワット)が営業運転を開始したと発表した。廃止した旧1号機(25万キロワット)と2号機(35万キロワット)の合計と同じ容量だが、高効率な超々臨界圧(USC)微粉炭火力となり、二酸化炭素(CO2)排出量を約2割削減する。木質バイオマス燃料の混焼率は10%を目指し、環境負荷の抑制に貢献する。
旧1号機は2018年4月、2号機は19年6月にそれぞれ廃止。3号機(70万キロワット)は1983年から運転を続けている。新1号機の建設工事は14年に始まり、廃止設備を可能な限り稼働させつつ、既存の3号機の運転にも支障が出ないように配慮しながら工事を進めた。
新1号機には最新鋭の技術を導入して、性能を向上した。主蒸気温度は600度と廃止設備より30度以上高く、発電端効率(低位発熱量基準)は約48%で世界最高水準となる。性能の向上によって、発電電力量当たりのCO2排出量は従来設備より2割ほど減る。
バイオマス燃料を積極的に活用し、CO2排出量のさらなる削減を目指す。石炭火力でのバイオマス燃料の混焼率は数%程度が一般的だが、竹原火力新1号機は10%を目標に掲げる。国内の木質ペレットを主に利用する予定で、Jパワーと住友林業が共同で設立した製造・販売会社「SJウッドペレット」からも調達する。使用量に応じて輸入も検討する。
従来設備と比べて運用性も高まっており、出力変動を早められるようになった。再生可能エネルギーの普及に柔軟に対応できるとしている。竹原火力の電力は大手電力(旧一般電気事業者)や卸電力取引所などに幅広く販売していく。
電気新聞2020年7月1日
>>電子版を1カ月無料でお試し!! 試読キャンペーンはこちらから