港側の充電設備から船内の蓄電池に電力供給を受けるEV船のイメージ

 海運会社の旭タンカー(東京都千代田区、中井和則社長)や東京電力エナジーパートナー(EP)など7社は21日、電気推進(EV)船の実用化に向けたコンソーシアムを設立したと発表した。各社が技術を持ち寄り、EV船を基礎とする海運インフラの構築を目指す。世界初となるEVタンカー2隻の建造を既に決定しており、2022年3月に第1船が完成する予定だ。

 旭タンカー、出光興産、船舶・海運サービス会社のエクセノヤマミズ(東京都千代田区、増田尚昭社長)、商船三井、東京海上日動火災保険、東電EP、三菱商事が参加し、「e5(イーファイブ)コンソーシアム」を設立した。

 旭タンカー、エクセノヤマミズ、商船三井、三菱商事は19年8月、EV船の実用化を目指して共同会社「e5ラボ」(東京都千代田区、一田朋聡社長)を設立しており、同社がコンソーシアムの事務局を務める。

 e5ラボの4社に出光、東京海上日動、東電EPの3社が加わることにより、EV船の導入を一段と推進する。出光は荷主としての立場、東京海上日動は船舶や船員の保険商品を提供する立場から参加する。東電EPは、港湾に設置する給電設備の施工や運用を担当する。

 e5ラボが建造するEVタンカーは、22年3月から23年3月にかけて2隻完成する。大容量リチウムイオン電池を動力源とする完全電化の船で、船舶向けの燃料供給船として東京湾内に就航する計画だ。

 EV船は二酸化炭素(CO2)などを排出しないため、地球温暖化の防止や環境負荷低減に貢献するほか、騒音や振動が抑えられることから、船員の労働環境や港湾周辺の環境への配慮にもつながることが期待されている。

電気新聞2020年5月22日