東京電力パワーグリッド(PG)、NTTデータ、日立製作所は19日、ドローンによる設備点検の高度化や新事業創出に向けて、「グリッドスカイウェイ有限責任事業組合」を設立したと発表した。送電線や配電線の上空をドローンの航路インフラにするための実証に取り組むとともに、ドローンを活用した事業を検討する企業などとの実証を目指す。東電PGはドローンの目視外飛行による巡視・点検の早期実用化につなげる。

 グリッドスカイウェイ有限責任事業組合の所在地は東京都港区で、事業期間は3年。資本金7億円のうち東電PGが3億円(43%)、NTTデータと日立がそれぞれ28.5%(2億円)を出資した。3社は、電力設備の上空をドローンの航路プラットフォームとして活用することで、空のインフラ構築を目指す。

 ドローンは物流や農業、測量など幅広いビジネスへの応用や災害対応での活用が期待されている。今回3社が設立した事業組合では3年の活動期間の間に、ドローンを利用したビジネスを目指す企業と実証を行うことも視野に入れる。東電PGは実証環境の構築、NTTデータと日立は運航管理システムの整備を担う。

 東電PGは目視外飛行による巡視・点検を実現するためのシステム構築・実証にも取り組み、インフラ設備点検の高度化や台風災害などに対するレジリエンス(強靱性)強化につなげる。

 内閣府の「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」は、少子高齢化に伴う労働力不足や激甚化する災害などへの対応として、ドローンの活用拡大を提唱。2019年6月にまとめたロードマップには、22年度に有人地帯で目視外飛行を実現する方針を盛り込んだ。

電気新聞2020年3月23日