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 世界最先端の“ロボット犬”を電力の現場に――。中部電力は最新の四足歩行型ロボット「Spot(スポット)」を電力設備の巡視業務などに活用するため、ソフトバンク、ソフトバンクロボティクス(東京都港区、冨澤文秀社長)と共同で検討を進めている。Spotを電力の現場で活用する試みは国内初となる。3社は今年1月に実証を行い、Spotの有効性を確認。今夏以降の現場導入を見据え、ハード・ソフトの両面で検証を進めている。

 Spotは、ソフトバンクグループの米ボストンダイナミクスが開発した世界最先端の四足歩行型ロボット。足場の悪い路面や坂道、階段でも、自律歩行で犬のように動き回れるのが特徴だ。本体には高精度センサーや360度カメラを搭載し、障害物の自動回避や現場の写真撮影が可能。アームで物をつかんだり、重さ14キログラムまでの荷物を運んだりすることもできる。

 本体は全長110センチメートル、幅50センチメートル、高さ84センチメートル(起立時)で重量は28キログラム。バッテリー式で歩行スピードは時速6キロメートル程度、平均稼働時間は90分となる。

 実証ではSpotを使って電力設備の巡視を行い、自動巡回による現場の進捗管理や安全点検など業務への活用可能性を検証した。今後は実証で得たデータを基に課題を整理し、ハード技術やロボットを制御するためのモジュール開発などを進めていく方針。中部電力の担当者は「様々な電力設備の巡視業務に活用を検討していきたい」としている。

 中部電力、ソフトバンク、ソフトバンクロボティクスは2018年10月から世界に先駆けてSpotの活用可能性を検討してきた。3社で協議を進め、電力関連業界が急務と捉える現場業務の省力化や生産性向上に寄与することを目指している。

電気新聞2020年3月10日