原子力機構が開発したファイバー型モニター。水中に沈めて使用する
原子力機構が開発したファイバー型モニター。水中に沈めて使用する

 日本原子力研究開発機構は、東京電力福島第一原子力発電所の排水路で、汚染水の有無を瞬時に判断できるモニターを開発した。陸上の放射線を測定するファイバー型モニターの技術を応用し、汚染水に多く含まれるβ線をリアルタイムで計測する。1月31日からは1~4号機の側を通る排水路で本格運用を始めた。汚染水漏えいの判断に必要だったサンプリングや分析が不要になり、対応の迅速化や作業員の負担軽減が期待できる。

 福島第一原子力発電所では、大雨などで排水路から汚染水の漏えいが疑われる場合、サンプリングによりβ線を計測する。作業は数時間程度かかる上、水中のβ線は直接検出することが難しく、簡便化が求められていた。

 原子力機構は、陸上の放射線量をリアルタイムで測定するファイバー型モニターを応用した。全長の半分をβ線が通らないステンレス管で覆い、セシウム由来のγ線だけを検出するようにした。

 一方、ステンレスで被覆されていない部分はβ線とγ線を両方検出するため、両者の計測量の差分を取ればβ線の量が判断できる。

 1月初めから福島第一原子力発電所の排水路で実証実験を行い、耐久性や測定結果の有効性を確認している。今後はモニターを設置する排水路を増やし、実用性を高めたい考えだ。

電気新聞2020年2月3日