日米電力ワークショップのパート2では、企業文化や災害時の対応などについて議論された
日米電力ワークショップのパート2では、企業文化や災害時の対応などについて議論された

_日米WS_banner2 日米電力ワークショップ「送配電事業におけるDXのあり方とは 課題と可能性を探る」パート2は、「日米の取り組み事例から課題を抽出――マネジメントの関与、組織のあり方、人材育成、カルチャー」と題するセッションで、日本側の取り組みとして東京電力グループから報告が行われた。
 

※DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語。デジタル技術の活用などにより企業や社会システムがより良いモノへと変貌を遂げる概念(『まるわかり電力システム改革2020年決定版』より)

 

東電グループの取り組み――企業文化変革へラボ設置

 
 まず東京電力パワーグリッドの佐藤秀幸・技術・業務改革推進室IT・OT技術戦略グループマネージャーが登壇し、東電グループ全体でのDXに関する方針や組織体制などについて解説した。
 

東京電力PGの佐藤秀幸氏
東京電力PGの佐藤氏

 佐藤氏は「生産性倍増」という企業目標の下でDXを推進しているが、収益につながるものは「1000件に3つ」という世界であり、非常に難しいと話す。海外の事業者などから「ラボを持つなど、見た目から変えるのも重要」という指摘を受けたことから、グループ企業のテプコシステムズに「テプシスラボ」を開設。社内向けのイノベーションイベントなどを活発に行い、企業文化の改革からイノベーションを進める活動に注力していると説明した。

テプシスの川上氏
テプコシステムズの川上氏

 続いて登壇したテプコシステムズから川上剛・テプコシステムズICT推進室DX推進部長は、東電グループ全体で行っている『データサイエンティスト養成プログラム(DSP)』の概要と成果について説明した。佐藤氏も紹介した「テプシスラボ」について、オープンイノベーションなどこれまでの取り組みを説明。最近の成果として、電柱や電線が気になる状態の場合、撮影した画像をお客さまに送ってもらい、修理に出向くかどうかを判断する「テプコスナップ」などの開発事例も紹介した。
 

九州電力には非常時用の情報共有システムがある

 
 ラウンドテーブルでは、ピーコア氏と東電グループのプレゼンテーション内容をふまえ、「DXと企業文化の改革」「DXと非常災害対応」の2テーマについて意見交換を行った。

 企業文化についての議論では、東電PGの佐藤氏からの「文化の醸成という面では『失敗を恐れない文化』をつくることが大事」との指摘に賛同の声が寄せられた。

 また非常災害対応については、台風襲来の多い九州電力から情報共有システム構築など現状の説明や、東電グループからの2019年の台風15号や19号での取り組みの紹介を受けて議論が行われた。コーディネーターの松浦康雄・関西電力理事・送配電カンパニー配電部・情報技術部担任から「非常災害については、各社単独ではなく、共有できるものは共有していくのはどうか」との提案もあった。

 次回はパート2の後半を紹介する。

 

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