日米電力ワークショップ「送配電事業におけるDXのあり方とは 課題と可能性を探る」のパート2後半は、SASジャパンソリューション統括本部シニアプリセールスコンサルタントの小野恭平氏が「DXによる電力ネットワークのレジリエンス強化を目指して」をテーマに講演を行った。この中では、災害対応にデータ分析技術を活かしていくための具体的な提案も行われた。
※DXとはデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語。デジタル技術の活用などにより企業や社会システムがより良いモノへと変貌を遂げる概念(『まるわかり電力システム改革2020年決定版』より)
Grid × SAS SASからの提案とは――
小野氏は「電気事業におけるDXは、SASが近年かなり多く取り組んでいる分野」と紹介。「DXの成功については、『技術・プロセス・人』の3つがバランスよく展開していかなければならないSASは技術面での提供と見られがちだが、それをより有効に活用させていくためのシステム・体制づくりや、人材育成や教育などについてのコンサルティング業務に力を注ぐという形に変わってきている」と説明した。
その上で、電力中央研究所の被害推定システム「RAMP」を活用し、空撮写真からトタン屋根やビニールハウスといった主な飛来物の発生を分析、予測することで、エリアごとの被害予測モデルを精緻化する取り組みができないかと提案した。
電力業界としてのコンセンサスづくりも重要に
参加者からは「DXに限らず、各社が現在どのようなシステムを作ろうとしているのかを把握していこうという、電力大での情報共有の取り組みも進んでいる」という説明があり、こうした電力業界での取り組みに、SASからの提案や、非常災害に関する議論もあわせ、どのように反映していくかというコンセンサスづくりも重要という指摘が行われた。
パート1、パート2を通し4時間にわたる議論が行われた日米電力ワークショップ。コーディネーターを務めた関西電力の松浦康雄理事・送配電カンパニー配電部・情報技術部担任は、「幅広い議論が行われ、各社各様の課題があることもわかった。同じ日本の中で安定した送配電事業を行っていくため、課題や情報の共有、認識のすり合わせなどをする場を設けていければと考えている」と、今回の会合の成果を総括した。
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