名称未設定 1 東京電力ホールディングス(HD)、中部電力、日立製作所、東芝の4社は8月28日、沸騰水型軽水炉(BWR)事業の共同事業化を検討することで基本合意したと発表した。BWRは現時点で再稼働しておらず、技術や人材の維持が課題となっている。4社のリソースを持ち寄り、BWR事業の安定化を目指す。既設炉の保守・管理、廃炉、東通原子力発電所の建設などを念頭に共同事業化の具体的な内容を詰めていく。

 4社は基本合意の目的について、BWRの安全・経済性向上、人材・技術・サプライチェーンの維持・発展を挙げた。4社はまず既設炉の保守・管理で協力を深めていくとみられる。柏崎刈羽原子力発電所6、7号機を含め、再稼働の望みがあるプラントを活用し、人材や技術の維持につなげたい考えだ。

 廃炉についても、東電HDは福島第一原子力発電所のほか、福島第二原子力発電所の全基で実施しなければならず、人が足りていない。中部電力は既に浜岡原子力発電所1、2号機の廃炉を手掛けており、要員や知見を生かすことができる。

 最終的には、4社連合を土台に、新々・総合特別事業計画(新々総特)に盛り込んだ東通原子力発電所の共同事業化を検討していくもようだ。新々総特では2020年度頃の共同事業化が想定されている。

 共同事業化によって東電HDは他社の資本を活用できるほか、日立、東芝と発注先・受注先ではなく、共同事業者という関係を築くことで、設計や機器の購入に関するコストを抑制できる。他の3社も貴重な新設の経験を積むことができる。

 4社で保守・管理の新会社をつくり、さらに東通原子力発電所を運営する構想もささやかれるが、この案にはメーカー側がリスク管理の点から及び腰だ。運営主体を東電HDから移す際は、原子炉等規制法(炉規法)に基づき、原子力規制委員会の認可を受ける手続きなども必要になる。

 BWR事業を巡っては他社も課題を抱えており、4社連合の動向はBWR陣営全体に影響を及ぼしそうだ。

電気新聞2019年8月29日