日立GEニュークリア・エナジーは28日、東京電力福島第一原子力発電所1号機向けに開発した潜水機能付きボート型の調査装置6種を報道陣に公開した。ペデスタル(原子炉圧力容器を支える土台)外部地下階の堆積物調査に用いる装置で、6種を使い分けて損傷状況の確認のほか、堆積物の厚さ測定、サンプル採取などを行う。燃料デブリの取り出し方法の検討を前に、現場の重要な情報を収集する狙いだ。現地調査は2019年度上期中に行われる予定。
調査装置は国際廃炉研究開発機構(IRID)と共同で開発。公開は日立GEニュークリア・エナジーの日立事業所臨海工場(茨城県日立市)で行われた。
開発した6種は、それぞれ外部とケーブルで接続。操作はオペレーションルームの4人1チームで行い、装置に搭載したカメラ、センサーで得た情報を確認する。
6種の内訳は、堆積物の厚さなどを確認できる円柱形の潜水機能付きボート(長さ約110センチメートル、直径25センチメートル)が5種。カメラで内部の損傷、倒壊、堆積物を確認する直方体の小型ボート(長さ約45センチメートル、幅約20センチメートル、高さ約18センチメートル)が1種。それぞれ前方後方にカメラ、照明が配置されている。
調査はペデスタル内でのケーブルの絡まりを防ぐため、まずは通行ルートを示すガイドリングを取り付けるための円柱形の調査装置「ROV―A」を投入。最大8地点にリングを取り付けた後に、小型ボートを投入して内部を確認する。残りの4種で、センサーを使用した堆積物の3D(3次元)マッピング、堆積物の厚さの測定、中性子の含有状況の把握、堆積物のサンプル採取を行う。
19年度上期の現地調査の実施に向けて、今後は調査装置を挿入するアクセスルートの工事などを行う。調査開始後は、約半年間をかけてサンプル採取までの工程を終了させる予定。
今回公開した装置は、1号機向け調査の第3弾で使用される。これまで第1弾として15年4月、専用の調査装置がペデスタル1階の線量、倒壊状況を確認。2弾目は17年3月、ペデスタル1階から装置を地下に垂らして、水中に多数の堆積物を発見していた。
電気新聞2019年3月29日
>>電子版を1カ月無料でお試し!! 試読キャンペーンはこちらから