会見では新設したラボで提供するサービス内容などを公表した
会見では新設したラボで提供するサービス内容などを公表した

 東京電力パワーグリッド(PG)とNTTデータが設立した、電力データと異業種データを融合して社会的課題解決や価値創造に役立つ手法を検討する有限責任事業組合(LLP)「グリッドデータバンク・ラボ」(代表職務執行者=三野治紀・東電PG副社長)に5日、関西電力と中部電力が出資し、組合員として事業参画すると発表した。資本金は6億円で、4社が1億5千万円(25%)ずつ出資。統計処理した電力データを基盤に、公共サービスや企業活動の新たなアイデアを創出する。

 LLPは同日、会員企業・団体の出会いや議論の場となるオフィス兼ラボを東京都千代田区に開設。会員は、昨年11月のLLP設立以降、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州の6電力を含む12社が加わり、組合員を含め合計30社となった。自治体やメーカーのほか、地図、気象、金融、保険、広告などの分野から企業・団体が参加している。

 スマートメーター(次世代電力量計)から30分単位で収集し統計処理した電力データを活用し、地域ごとの特性やタイムリーな街の変化に合わせた新たなサービスを検討。電力データと地図や交通量などの異業種データを組み合わせ、防災計画や都市計画、防犯対策などの公共サービス、商圏分析や販売価格検討などの企業活動に役立つアイデアの創出と具体化を目指す。

 東電PG、関電、中部電力の3社は、電力データの統計処理結果などを会員へ提供。NTTデータは実証環境やデータ分析技術を提供する。

 開設したラボでは、会員の出会いの場となるオープンラボスペース、アイデアの試作・実証の企画を進めるプロジェクトルーム、特定の人のみに限定してデータを取り扱うセキュアルームなどを配置。電力データ活用のデモ展示や説明会の開催、会員同士の交流、共創によるアイデア検討、実証を通じたアイデアの実用化支援などを行う。アイデアの企画段階で、新サービスが法制度面で乗り越えるべき障壁や克服の方法なども検討する。

電気新聞2019年3月6日