袖ケ浦火力に設置された小型の水素専焼発電所(東宝提供)


 JERAは29日、袖ケ浦火力(千葉県袖ケ浦市)構内に小型の水素専焼発電所を設置し、東宝スタジオ(東京都世田谷区)への電力供給を同日開始したと発表した。独2G製のガスエンジン(320キロワット)とヤンマーエネルギーシステム製の燃料電池(35キロワット×2基)で構成。エア・ウォーター・グリーンデザイン袖ケ浦工場から、グレー水素を調達する。2030年頃までに国内産グリーン水素に転換し、東京電力パワーグリッド(PG)エリアに設置した太陽光発電(1380キロワット)と組み合わせ「24/7カーボンフリー電力」を供給する。

 JERA子会社で脱炭素コンサルティングを手掛けるJERAクロス(東京都中央区、三木貴生社長)が、東宝とオフサイトPPA(電力購入契約)を締結した。供給期間は30年までで、年度ごとに料金などの小売りメニューを更新する。30年以降は「24/7カーボンフリー電力」供給の進捗状況などを踏まえ契約を検討する。

 東電PGエリアに設置した太陽光オフサイトPPAは6月に運転を始めた。出力は当初公表していた1750キロワットから、1380キロワットに落とした。JERAによると、この太陽光に水素専焼発電390キロワットを組み合わせることで、東宝スタジオの消費電力の6~7割を賄えるという。30年の24/7カーボンフリー化に向け、設備増強も検討する。

 JERAと東宝は21年12月、エンターテインメント分野の脱炭素化に向け、映画制作の二酸化炭素(CO2)排出削減に共同で取り組むと発表。23年6月、JERAが「東宝スタジオ」に水素専焼発電によるカーボンフリー電力を供給すると発表していた。

電気新聞2024年12月2日