燃料デブリとみられる堆積物。左右両端に見えるのは調査機器の先端部(13日、東電HD提供)
燃料デブリとみられる堆積物。左右両端に見えるのは調査機器の先端部(13日、東電HD提供)

 東京電力ホールディングス(HD)は、福島第一原子力発電所2号機原子炉格納容器内で燃料デブリ(溶融燃料)とみられる堆積物に触れる調査を13日に初めて行い、大きさが1~8センチメートル程度の小石状の物をつまんで持ち上げることができたと同日夜に発表した。粘土状に見える堆積物がある程度の硬さを持っていることも分かった。今回得た知見によって、2号機で2019年度下期に計画する少量サンプリング、その先の燃料デブリ取り出しに向けた検討が深まると期待される。

 今回の調査は堆積物の性状を確認することが目的だ。格納容器側面の貫通部からガイドパイプを通して調査機器を挿入した。機器の先端は物をつまめる構造で、重さ2キログラム程度まで持ち上げられる。ただ、持ち上げた重量を測定する機能は備えていない。

 ペデスタル(原子炉本体を支える基礎)底部の6カ所で堆積物に接触し、そのうち5カ所で動かすことができた。これにより、小石状の物はつまんで取り出す方法が適用可能だと考えられる。一方、粘土状に見える底面にへばりついたような堆積物については、「切る」「削る」などの工程が必要になりそうだ。

 撮影された画像に写った堆積物の表面は、冷却用の注水でぬれているが水没はしていない。画像でぼやけている部分は、カメラに水滴が付いたりした影響だという。ペデスタルで計測した空間線量、温度などのデータはノイズや機器汚染の影響、機器故障の有無を確認した上で公表する。

 調査は13日午前7時10分頃に始まり、午後3時10分頃に終了。現場30人、遠隔操作室16人の体制で実施した。作業員の被ばく線量は1人当たり平均0.26ミリシーベルト、最大0.68ミリシーベルトと計画内だった。作業前後で周辺への放射線影響はみられなかった。

 2号機では19年度下期にも格納容器内部調査を計画しており、多関節型のアームを使って堆積物の少量サンプリングを行う予定。また、19年度上期には1号機の格納容器内部調査を実施する計画だ。これらの結果や過去の知見を踏まえ、19年度中に燃料デブリ取り出しの初号機と方法を確定し、21年内に開始することを目指す。

電気新聞2019年2月15日