グリーンアンモニアの製造試験装置


◆高効率を達成、商用化へ

 IHIは8日、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を原料としたグリーンアンモニアの製造試験に成功したと発表した。そうまIHIグリーンエネルギーセンター(福島県相馬市)で小規模試験を行い、高効率でのアンモニア製造ができることを確認した。今後は1日当たり数十~数百トンのアンモニアを製造できるように装置の大型化を進め、2030年代の商用化を目指す。製造したアンモニアは石炭火力発電所の燃料転換などで使えると見込む。

 アンモニアは肥料や化学製品の原料として広く使われるとともに、火力発電の次世代燃料としても期待されている。一般的な製造方法では天然ガスを改質して得た水素と窒素を化学反応させるが、この方法では天然ガス由来の二酸化炭素(CO2)が排出されるのが課題だった。

 同社は出力変動の大きい再エネの電気を熱や水素に変換し、効率よくエネルギーを利用する技術の確立に取り組んできた。水電解装置を用いて製造した水素とCO2から合成メタンを製造し、地域のコミュニティーバスに燃料供給する実証事業などを行った実績もある。再エネ由来水素からグリーンアンモニアを安定的に製造できれば、再エネのさらなる有効活用が可能になると見込む。

 今回実施した試験では1日当たり1キログラムのアンモニアを製造できる装置を設置し、再エネ由来水素から高効率でのアンモニア製造が可能であることを確認した。今後は試験を続けて様々なデータを収集し、製造プロセスの高度化や装置の大型化につなげる。

電気新聞2024年11月11日