経済産業省は6日、LNGの供給安定化策や環境対策などを生産国、消費国双方の官民で議論する「LNG産消会議2024」を広島市内のホテルで開催した。LNG事業のメタン対策を進める日韓連携の枠組みに、電力・ガス会社や商社など日本企業22社が加わった。計24社のLNG輸入量は世界全体の4分の1程度に相当し、LNG生産者に対するメタン排出削減への働き掛けを強める。
LNG産消会議は今回で13回目で、国際エネルギー機関(IEA)との共催で開かれた。約20の国・地域・機関が参加した。
冒頭あいさつした経産省・資源エネルギー庁の村瀬佳史長官は「LNG市場は世界の地政学的影響によりかつてない危機を経験し、現在、そこからの回復途上にある」と指摘。「天然ガス・LNGの低炭素化といった将来像の提示は安定的なガス市場の発展を促し、世界のエネルギー安定供給に貢献する」との考えを示した。
会場ではエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の高原一郎理事長が「ネットゼロに向けたLNGからのメタン排出削減のための連携(CLEAN)」について説明した。この枠組みはJERAと韓国ガス公社(KOGAS)がJOGMECなどのサポートを受けて構築。今回新たに大手電力8社や東京ガス、大阪ガス、三菱商事、三井物産などが加わった。LNG事業単位のメタン排出量の情報提供を生産者に働き掛け、年次報告書で公表する。
会議では、エネ庁とイタリア環境エネルギー安全保障省の間で、LNGに関する包括的な協力を確認。覚書を近く締結する方針だ。また、イタリア最大の総合エネルギー企業であるイタリア炭化水素公社(Eni)とJOGMECが、ガスセキュリティーの向上とLNGの調達支援、調達多角化に向けて協力することも確認した。
このほかJERAとKOGASの間でLNGのカーゴスワップ取引などを試行する方向で一致した。両国政府間での合意を目指す。
会議ではIEAと経産省の連名で会議の成果を取りまとめた共同議長声明を発表した。
電気新聞2024年10月8日
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