スマートメーター通信を活用すれば漏水の検知も可能に(金沢市で行った報道公開の様子)
スマートメーター通信を活用すれば漏水の検知も可能に(金沢市で行った報道公開の様子)

 北陸電力は、スマートメーター(次世代電力量計)用通信システムを用いた電気、ガス、水道の共同検針に向けた実証試験を進めている。ガス・水道メーターの通信環境やシステム連携といった技術的な検証に加えて、取得したデータを活用した付加価値サービスの提供を模索。さらに、蓄積したビッグデータを活用することで、電気、ガス、水の「総合的な需要予測が可能になる」(電力流通部)と期待を寄せている。

 同社は2018年12月から顧客宅での実証を開始した。現段階で、ガス・水道メーターに取り付けた無線端末との通信状況は良好という。特に水道メーターは、電子式、機械式の多様な製品で接続試験を実施。今後、積雪や水没といった過酷な状況下での通信状況を確認していく。

 また、付加価値サービスとして使用量の「見える化」を検証。共同で実証を進めるNTTテレコンの既存サービスを利用し、電気、ガス、水道ごとの使用量のグラフをウェブ上に表示できるようにした。既存サービスを活用することでシステム開発費を大幅に低減できるのが特徴だ。

 スマートメーター通信では、遠隔監視・操作の動作確認も進めている。事業者側で顧客ごとの使用量を把握できるため、異常な使用量を検知した際は「ガス・水道漏れ」と判断し、遠隔で閉栓できる。電気は遠隔でのブレーカー開閉が可能だ。北陸電力は1月30日に行った報道公開で、ガスの緊急遮断や漏水検知などを実演した。

 将来的には、電気、ガス、水道の3つの検針データがそろうことで“ビッグデータ”としての価値が高まるという。例えば季節・天候・気温データなどと重ね合わせて、使用実態の傾向を時間軸で分析。電気、ガス、水道の使用量との相関関係を解明できれば、需要予測の精度が向上するという。

 同社は19年10月まで実証を実施。まずは20年度からのスマートメーター通信回線を用いたガス遠隔検針でのサービス開始を目指す。

電気新聞2019年2月7日