東京電力エナジーパートナー(EP)は、デマンドレスポンス(DR)のリソースとして、需要家側に設置した蓄電池の余力を1万キロワット確保した。需要家側の蓄電池を活用したDR量としては国内最大。DRは生産調整を伴うことが多いが、緊急時用に設置された蓄電池の余力を活用すれば、顧客の負担は少ない。東電EPはDRリソースとして蓄電池を有望視しており、今後は域外も含めてDRに活用可能な蓄電池の余力を確保していく。

 2002年に東電は需要家へのNAS(ナトリウム硫黄)電池の販売や設置、エンジニアリングを開始。現在は約30カ所・8万キロワットが稼働している。これらは負荷平準化、非常用電源、瞬時電圧低下(瞬低)対策に導入されたものだが、平常時は使用されない。

 東電EPは、こうした蓄電池の容量の一部をDRとして活用。18年度までに工場、研究所など14カ所で、NAS電池やリチウムイオン電池の余力を1万170キロワット(3万510キロワット時)確保した。

 東電EPは、16年度から蓄電池によるDRや仮想発電所(VPP)の実証に取り組んでおり、18年度の実証では予定していたDR量との誤差をほぼ10%以内に抑えた。18年1~2月には、東電パワーグリッド(PG)の電源I’(イチダッシュ)としても活用された。

 一般的なDRは、工場の生産を減らしたりすることで、需要をコントロールする。ただ、この手法は顧客の負担が大きいことが課題になっていた。蓄電池の余力を使ったDRでは、災害対応との兼ね合いはあるものの、通常の生産活動を継続したままDRに対応できる。

 蓄電池は迅速に充放電ができるため、需給調整市場での調整力として有力視されている。

 東電EPは秒単位の制御が必要な周波数調整方式を検証していくとともに、DRに活用可能な蓄電池の余力を積み増していきたい考え。他の送配電事業者の調整力として活用することを視野に入れ、域外でも蓄電池余力を確保していく。

電気新聞2019年2月4日