関西電力は12日、京都府精華町で計画しているハイパースケール・データセンター(HSDC)の運転を、2027年度から開始すると発表した。HSDCはメガクラウド事業者が大容量データを処理する施設で、関電が手掛ける初の開発案件となる。総受電容量は7万キロワットを計画。顧客にサーバーラックを貸し出し、電力や空調を供給する「ハウジング」のサービス形態を採用した。
月内に土地造成工事を開始し、25年後半に着工する。12日に建設予定地で地鎮祭を開催した。森望社長は式典後「多くの事業者の進出を肌で感じている。スピード感を持って次の案件を開発したい」と述べた。
開発地点の精華町は複数の事業者がデータセンターを構える関西有数の集積地。敷地は国際電気通信基礎技術研究所(ATR)と借地契約を結んだ。投資額は非公表。設計は日建設計、施工は積水ハウスが担う。建物は4階建て免震構造。延床面積は約3万9千平方メートルで、データホールは6基とした。再生可能エネルギー導入に関しては、顧客の意向を踏まえ検討する。
関電は昨年5月、米国のサイラスワンと折半出資の合弁会社「関西電力サイラスワン」を設立。HSDCの開発・運用事業に参入した。今後10年程度で総受電容量90万キロワットを目指す。
米サイラスワンはこれまで欧米で事業を展開してきたが、アジア市場に進出する。12日の地鎮祭に出席した同社のエリック・シュワルツ最高経営責任者(CEO)は日本市場の可能性について「生成AI(人工知能)の成長が大きなドライバーになる」と強調。後続案件の開発に向けては「サイト選定やデザインの検討に取り組んでいる」と説明した。
電気新聞2024年9月13日