◇デジタルなど先進技術に焦点/効率化、安全への貢献探る

 来年3月の次回WM2025は、「持続可能な未来の実現―原子力分野における先進技術、AI、人材育成」をテーマとし、カナダを特集国として準備を進めている。このテーマに沿って、急速に進化するデジタル世界が、世界中の放射性廃棄物管理、原子力産業、およびクリーンアップ部門にどのような変革をもたらしているかに焦点を当てる。より効率的な運用、人間と機械のインターフェースの改善、安全性の向上、およびデータ管理と分析の強化にどのように貢献しているかを紹介する計画だ。

 技術セッションで取り上げるトピックスのリストを作成しWMシンポジアのウェブサイトで公開し、8月23日締め切りで発表の募集を始めている。9月からは、展示会場への展示ブース出展の申込みも始まる=表1

 ▼2025年度ロイ G.ポスト財団奨学金

 2025年度の申請は、24年8月1日に開始され、11月1日までに申請書と添付文書を提出することとした。応募資格は、原子燃料サイクルに関連する学位取得を目指して在籍しているフルタイムの学部生または大学院生で、これまでにポスト奨学金を受け取ったことがない学生を対象とする。

 提出された申請書は、財団が成績評価、課外ボランティア活動、放射性廃棄物関連分野への関与、経済的必要性、研究活動、および推薦状を評価し、受賞者を決定する。受賞者は申請期限の1カ月後に通知を受ける。受賞者には、奨学金(5千ドル)と、WM国際会議に参加する費用(会議参加費、ホテル宿泊、旅費)が提供される。

 受賞者は、WM国際会議全体への出席が求められ、日曜日の夜のオープニングレセプションで自分の研究を説明するポスターを展示し、火曜日に実施される授与昼食会で奨学金を受け取る。

 ▼2025年以降の計画

 25年以降は下記の日程が予定されている。場所はこれまでと同じフェニックス会議場を会場に開催される。

 WM2026=26年3月8~12日

 WM2027=27年3月7~11日

 なお、26年以降に、福島第一原子力発電所の廃炉作業および国内のバックエンド事業の進捗などを勘案しながら、特集国「日本」を再び実施する検討が始まっている。17年の特集国日本で実施したパネルセッションの実績を表2に示す。

 ▼アリゾナ州フェニックス市について

 アリゾナ州の愛称は「グランドキャニオンの州」で、観光の州とのイメージがあるかもしれないが、フェニックス市はエネルギー産業にとって非常に重要なエリアである。連載の最後に、関連するエネルギー施設やトピックスを紹介しよう。

 ◇パロベルデ発電所=西方約80キロメートルに加圧水型軽水炉(PWR)3基が操業中。使用済み燃料は構内でコンクリートキャスク貯蔵されている。

 ◇National SAFER Response Center(SAFER施設)=福島第一原子力発電所事故後に米国原子力規制委員会(NRC)が出した命令に従い、原子力事業者が設置し管理している施設が、フェニックス空港近くにある。

 ◇ファースト・ソーラー=世界10大太陽光発電メーカーの中で唯一、米国に本社を置くファースト・ソーラー社の本社が、東隣のテンピ市にある。

 ◇Waymo自動運転タクシー=フェニックス市および近郊において、運転手なし電動自動運転タクシーのサービスが提供されており、市内で走行するのをよく見かける。

(この項おわり)

電気新聞2024年8月5日