関西電力、東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)、東急建設の3社は29日、東急建設の相模原蓄電所(相模原市)で、蓄電池の寿命予測を行うアセットマネジメントサービスと、蓄電所を常時遠隔監視するスマート保守支援サービスの実証を開始したと発表した。関西電力がサービス提供し、東芝ESSが独自の劣化診断技術を用いた蓄電池の分析・評価を担う。関電が商用運転を始めた系統用蓄電池向けに両サービスを提供するのは国内で初めて。

 東急建設が運用する相模原蓄電所は同社相模原工場の敷地内に設置され、29日に営業運転を開始した。リチウムイオン電池を用い、定格出力は1999キロワット、定格容量は4064キロワット時。蓄電池とパワーコンディショナーはファーウェイ製。

 系統電力を受電し、卸電力市場、需給調整市場などでの電力取引に活用する。関西電力子会社のE―Flow(大阪市、川口公一社長)がAI(人工知能)などを活用し、取引の最適化を支援する。

 関電が提供するアセットマネジメントサービスは、蓄電池の運用データを分散型プラットフォームで蓄積し、運転を止めずに電池の性能評価や寿命予測を行う。蓄電池の劣化評価には、東芝ESSの「充電曲線解析法」を適用する。充電データのみで電池の内部状態を推定し、安全性を診断できる。スマート保守支援サービスは蓄電池システムを遠隔監視して、異常があれば自動で関係者に連絡する。

 実証は7月29日から1年間の予定。関電と東芝ESSは実証を通じ、両サービスの事業化に向けた検討を加速する。29日に蓄電所の開所式典に出席した関西電力ソリューション本部の児玉智副本部長は「蓄電池事業における課題解決をサポートし、お客さまとともにカーボンニュートラル実現に貢献したい」と意気込みを語った。

電気新聞2024年7月30日