水素等供給基盤整備事業の公募結果
水素等供給基盤整備事業の公募結果

 経済産業省・資源エネルギー庁の補助を受け、国内の水素・アンモニアサプライチェーン(供給網)構築に向けた調査が全国各地で始まる。JERAは東京電力エナジーパートナー(EP)や大口需要家などと組み、茨城県で調査事業を開始する。補助事業には計10件のプロジェクトが採択されており、北海道電力は地元・北海道、関西電力は兵庫県での調査にそれぞれ参画する。調査期間は来年2月末まで。

 JERAなどの陣営は、茨城県での水素・アンモニア供給網構築に向けて調査する。常陸那珂地域などの沿岸部を起点に、北関東内陸部への水素・アンモニア供給まで見据える。来年2月末をめどに、どういった事業モデルが考えられるか検討する。沿岸部では水素・アンモニアの輸送、供給インフラ整備が論点になるほか、北関東内陸部を含め水素・アンモニアを利活用する需要家側の環境整備も議論する。

 調査事業には、JERAのほか、鹿島コンビナートを形成する日本製鉄、AGC、鹿島南共同発電も参画。他にもエネルギー需要家との接点がある東京EPや、茨城県が共同で調査する。

 北海道電力と北海道三井化学、IHIなど6社は、北海道苫小牧地域でのアンモニア供給網構築に向け、実現可能性調査(FS)を実施する。行うと発表した。アンモニアの需要規模を調査するほか、輸入・貯蔵設備の仕様などを検討。30年度までの供給開始を目指す。

 丸紅、三井物産、苫小牧埠頭(苫小牧市、海津尚夫社長)も含む6社は4月に事業計画を発表。北海道電力苫東厚真発電所(北海道厚真町、石炭、総出力165万キロワット)の隣接地などをアンモニア供給の拠点とし、苫東厚真4号機(出力70万キロワット)で混焼するほか、複数の需要家への供給を協議するとしていた。

 関電は、兵庫県播磨・神戸地域で水素供給網構築に向けた調査を実施する。同地域の30年時点の水素需要や、利活用先への最適な輸送インフラ、脱炭素効果などによる地域経済への影響について調査・検討する。併せて、50年に向けた中長期的な水素供給インフラの全体構想も検討する。

 関電は30年頃を目標に、姫路第一、姫路第二発電所(兵庫県姫路市)で水素混焼を検討している。パイプラインなどの輸送インフラもこれまで姫路エリアを中心とした事業を打ち出してきたが、今後は多様な産業拠点が集積する播磨・神戸エリアにも取り組みを広げる考え。

 補助事業の名称は「水素等供給基盤整備事業」。水素・アンモニアの供給基盤構築に向けた調査の一部経費を補助する。24年度の予算規模は14億円程度で、補助率は3分の1となる。月内にも事業者の追加公募が始まる予定だ。

電気新聞2024年6月12日