式典では関係者によるテープカットを行った(左から奥田社長、石井政務官、斎藤理事長、井手社長)

 JERAとIHIは1日、碧南火力発電所4号機(愛知県碧南市、石炭、100万キロワット)で4月1日から始まった燃料の20%をアンモニアに転換する実証試験の順調な進捗を記念し、「JERA museum HEKINAN」(旧電力館)で式典を開いた。JERAの奥田久栄社長・CEO兼COOやIHIの井手博社長ら関係者約80人が出席。実証試験の進捗状況を関係省庁や立地地域のキーパーソンに披露し、これまでの尽力に謝意を示した。

 実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として進められている。6月まで実施し、ボイラーでの集熱特性や負荷変化への追従性などを確認する予定。大型石炭火力でアンモニアを大規模転換する実証は世界初で、多くの関係者の注目を集める。

 主催者を代表してあいさつした奥田社長は、4月10日にフル出力の下で燃料の20%をアンモニアに転換することに成功したことを報告した。実証試験は着実に進み、現在は「試験の最終段階を迎えている」とし、引き続き安全を最優先に「アンモニア燃料転換の商用化に向けて残る試験を完遂した上で、商用運転に向けた準備を着々と進めていきたい」と話した。

 井手社長は「(JERAと)『アンモニアという新しい燃料を世界に一緒に普及させていこう』と夢を語り合っていたが、それが現実になった」と強調。そして、「実証によって技術を確立させ、日本発の脱炭素モデルとして世界に広げていく。さらなる技術開発を進め、バリューチェーン全体での取り組みを一層加速していく」と意気込みを語った。

 続いて来賓として石井拓・経済産業大臣政務官、NEDOの斎藤保理事長があいさつ。石井政務官は「(アンモニア燃料転換という)成功にこぎ着くまでに技術的にも、安全面においても前例のないチャレンジがあったと聞いている」と述べ、課題を着実に乗り越えながら進めてきた関係者に敬意を表した。その後、テープカットを行い、記念式典終了後は碧南火力の施設見学会も実施した。

電気新聞2024年6月4日