実証のために新設した「箒根蓄電所」

◆6300キロワット時蓄電池設置

 東京電力パワーグリッド(PG)など10社は10日、系統用蓄電池を使って電力系統の混雑を緩和するためのフィールド実証を開始したと発表した。栃木県那須塩原市の配電系統に出力1999キロワット・容量6310キロワット時のリチウムイオン電池を設置。太陽光発電の余剰電力を蓄電池で吸収するとともに、周辺エリアの調整力として活用する。実証結果を踏まえ、管理システムの仕様や標準的な業務フロー、通信方式を年度内にまとめる。

 1日に実証を開始しており、まずは14日まで実施する。電力需要が低い連休中に余剰電力をうまく吸収できるか確認している。9月にも2回目の実証を計画している。

 実証エリアの関谷変電所は変圧器が2台あり、5万8千キロワットで運用している。この一帯は太陽光の導入量が拡大しており、逆潮流が課題になっていた。実証では、新設した系統用蓄電池とともに、電気自動車(EV)用充電器など一般設備も含めて分散型エネルギーリソース(DER)として扱い、系統混雑を緩和する。

 具体的には、日照量や系統混雑のデータを一般送配電事業者側で受け取り、制御可能なDERを抽出。アグリゲーターと取引を行う市場機能と制御指令の伝達機能を備えた「DERフレキシビリティシステム」を介して需給を管理する。

 今回の実証は新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業の一環。東電PG、早稲田大学、三菱総合研究所、関西電力送配電、京セラ、東京大学、中部電力パワーグリッド(PG)、東京電力エナジーパートナー(EP)、東京電力ホールディングス(HD)、三菱重工業がコンソーシアムを組み、2022年度から取り組んでいる。

電気新聞2024年5月13日