エネコートテクノロジーズが開発したペロブスカイト太陽電池

◆2040年世界市場は2.4兆円規模に

 富士経済が21日に発表した新型・次世代太陽電池市場の調査によると、ペロブスカイト太陽電池=写真=の2040年世界市場規模は23年比64.9倍の2兆4千億円に拡大する見込みだ。20年代後半から本格量産が始まり、既存太陽電池の更新需要を取り込む。高効率型の普及により市場拡大が進むと予想する。

 40年度の国内市場は233億円と見込む。ペロブスカイト太陽電池の量産化に向け、海外企業ではギガワット級の生産体制構築を計画するなど日本企業より先行した動きがあるという。

 調査ではペロブスカイト太陽電池のほか、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池などの市場動向を分析した。ペロブスカイト太陽電池のうち、フィルム基板型については30年以降に市場が本格的に立ち上がり、40年の世界市場は5100億円(構成比率21%)と予測する。ガラス基板型の40年世界市場は1兆8900億円(同79%)と見込む。

 有機薄膜太陽電池の40年世界市場は23年比3.8倍の千億円となる見通し。IoT機器、建材一体型太陽電池向けなどで商用化が進む。軽量・薄膜・鉛不使用などの特性を生かした用途開拓により一定の市場規模が見込まれるが、ペロブスカイト太陽電池の開発にシフトする企業も増えているという。

 色素増感太陽電池の40年世界市場は23年比3.2倍の350億円と見通す。無線通信やセンサー用途での商用化が先行していたが、製品当たりの搭載容量が限られるため、他の新型太陽電池と比べて市場規模は小さくとどまると分析する。

電気新聞2024年5月27日