津波による被害を受けた珠洲市の沿岸地域。北陸電力送配電が行政機関と連携し、道路啓開と歩調を合わせた復旧作業を進めている
津波による被害を受けた珠洲市の沿岸地域。北陸電力送配電が行政機関と連携し、道路啓開と歩調を合わせた復旧作業を進めている

◇道路啓開とともに

 地震から2カ月を迎えた3月1日、珠洲市内では電力設備をはじめ上下水道など、住民の帰還、生活再建の礎となるインフラの復旧作業が続けられていた。写真は津波による被害を受けた珠洲市の沿岸地域。当初はがれきが散乱し、足を踏み入れるのも難しい状態だった。北陸電力送配電は、市町や石川県など行政機関と連携して道路啓開と歩調を合わせた復旧作業に臨んでいる。

 

折損した電柱を引き抜き新たな電柱を建てる。北陸電力送配電と北陸電気工事の富山エリアの協力会社が作業にあたっている
折損した電柱を引き抜き新たな電柱を建てる。北陸電力送配電と北陸電気工事の富山エリアの協力会社が作業にあたっている

◇人々が帰るために

 堅く締まった地面から折損した電柱を引き抜き、新たな電柱を建てる。作業にあたっていたのは北陸電力送配電と北陸電気工事の富山エリアの協力会社。「今は二次避難で能登の外に出ている人が多い。インフラが整備され、人が戻ってから再生を考える段階になる」と、北陸電力珠洲営業所の所長で自身も市内で被災した谷内口充さんは状況を話す。復旧作業の最前線に立つ北陸送配電の珠洲配電センターの番匠誠さんは「住民の心に寄り添いながら一日も早く復旧を進めたい」と語った。

(3月8日、一部追加しました)

    

◇2カ月半で停電解消

 北陸電力送配電によると、能登半島地震の影響による停電が、顧客設備の健全性が確認できていない場合を除き15日までに解消した。地震直後、能登半島を中心に最大4万戸を記録した停電は、北陸送配電や協力会社、他社応援による復旧作業を通じて約2カ月半ぶりにゼロとなった。住民の不在など安全確保の観点で電気が利用できない状態の戸数は15日時点で約420戸あり、今後は自治体と連携して顧客と連絡を取りながら送電していく。
 設備被害は、鉄塔部材の変形が14線路、碍子割れが19線路、素線切れが13線路、変圧器のブッシング破損などが18台に上った。電柱の傾斜が約2310本、折損が約760本、断線・混線が約1680カ所となった。

(3月18日、追加しました)

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