自由自在に体を曲げながら配管内部を撮影するヘビ型ロボット
自由自在に体を曲げながら配管内部を撮影するヘビ型ロボット

 配管の内部をヘビが点検!?――。中部電力は水力発電所や火力発電所内で使われる配管の内部を精密に点検するため、ヘビ型ロボットの活用を検討している。多関節のロボット本体がヘビのような動きで自由自在に走行することで、急な角度で曲がる配管内部の点検も可能。水力発電所で行った実証では、全長約40メートルある配管の点検で有用性を確認した。今後は、さらに精度を高められる方法や原子力への活用も視野に入れ、検討を進めていく考えだ。

 中部電力技術開発本部が着目したのは、東京工業大学発ロボットベンチャーのハイボット(東京都品川区、廣瀬茂男社長)が開発するヘビ型ロボット。カーブが連続する配管の内部でも、自由自在に走行できる構造となっている。本体の操作はゲーム機用のコントローラーを使って、前進したり後退したりできるシンプルな方法だ。ロボットの先端にはカメラを搭載し、走りながら配管内部を動画撮影できる。

 中部電力は従来、水力発電所の配管内部の点検では、ファイバースコープを使用。配管の曲がり角など、進入できない箇所の対応が課題となっていた。

 一方、ヘビ型ロボットを用いた実証では、ファイバースコープでは到達できなかった箇所への進入に成功。配管内部に付着した泥や水に含まれるスケールなど堆積物の存在を確認できた。

 今後は発電所で使われる様々な配管の内部環境に、どこまで耐えられるかを検証する。併せて、一層の業務効率化や設備品質の向上につながる活用方法を検討していく。

 ハイボットは2004年に創業。厳しい環境下で活躍できるロボット技術の開発を専門に手掛ける。電力業界では、これまでに東京電力福島第一原子力発電所の内部調査や、関西電力の架空送電線点検用ロボットで技術提供した実績がある。

電気新聞2018年10月22日