報道陣に公開された東電PGの中央給電指令所

 東京電力パワーグリッド(PG)は再生可能エネルギーのオンライン制御システムの運用を2024年4月に開始する。春季は不需要期で電力需要が落ち込むのに対し、太陽光の出力は一年を通じて最も増える。出力制御の可能性が高まるため、オンライン化によって円滑に実施できるようにする。

 報道陣向けに開いた4日の説明会で、同社の岡本浩副社長が明らかにした。出力制御が未実施なのは全国で東電PGエリアを残すのみとなった。岡本副社長は「来年のゴールデンウイーク頃には実施の可能性が高まる」と述べ、オンライン制御の準備などを着実に進めると説明した。

 今冬の需給見通しについては、北海道と東北を含め、東日本の予備率は5%超を確保できる見込み。ただ、東電PGによると、冬季厳寒日は最低気温が1度低下すると80万キロワット需要が上振れする。岡本副社長は「電源が計画外停止することはかなり頻繁にある」と述べた上で、「需要の変化を注視し、国や広域機関(電力広域的運営推進機関)と備えに万全を期したい」と強調した。

 将来の需要への影響度合いが大きいデータセンター(DC)の動向にも言及した。DC新設による東電PGエリア内の需要電力は27年度頃を境に大きく増加。33年度には693万キロワットにまで増えると分析した。

 東電PGは4日、中央給電指令所を報道陣に公開した。中給は需給調整と系統制御の役割を担う。同社では系統給電指令所と地方給電所を中給で一括管理することで、効率化を図っている。

電気新聞2023年12月6日