東京大学や東京電力ホールディングス(HD)、電設・空調工事会社など10者は25日、AI(人工知能)を使ったスマートビルシステムの共同研究に乗り出すと発表した。リアルタイムのデータを使って空調をより効率的に制御するとともに、デマンドレスポンスの機能を担えるようにする。同時に、スマートビルシステムを運用する人材も育成する。2億4500万円の研究費を投じ、11月から2028年3月末まで研究を行う。

 東大大学院工学系研究科が11月に「スマートビルシステム社会連携講座」を開設する。赤司泰義教授が代表教員となり、産学で研究を進める。机上の研究は東大が行い、企業は主に実験を手掛ける。共同研究には学生も参加することができる。

 共同研究では、ビルの空調制御で使われるシミュレーションの精度向上を目指す。これまでは室内環境などのデータを30分単位でしか使えなかったが、AIを使ってリアルタイムのデータを反映できるようにする。東電HDは蓄熱事業で培った知見・ノウハウを生かし、最適な電力制御を研究する。

 これまで空調制御はビルごとに設計されていた。共同研究では、全てのスマートビルに必須となる「キラーアプリケーション」の開発を目指し、普及の主導権を握りたい考えだ。

 参加企業は次の通り。

 ▽関電工▽九電工▽新菱冷熱工業▽大気社▽ダイダン▽高砂熱学工業▽東電HD▽東洋熱工業▽三菱重工サーマルシステムズ

電気新聞2023年10月26日