JERAと九州電力は23日、再生可能エネルギーや火力など新規電源の共同開発や燃料の需給調整機能の強化に向けて、協業検討の覚書を結んだと発表した。覚書に基づき、JERAとENEOSが共同出資する五井火力発電所(千葉県市原市、LNG、78万キロワット×3基)の持ち分約6.67%を九州電力がJERAから取得。九州電力は持ち分出力分のLNGを五井火力の運営会社に売り、LNGの最適消費につなげる。JERAは九州電力との電源開発を通じて、投資リスクの解消につなげたい考えだ。

 JERAと九州電力はLNG船の共同保有のほか、LNGのスワップ取引など燃料分野で協力してきた。今回の覚書を通じて、電源の共同開発にも乗り出す。再エネ開発や火力の脱炭素化などで「両社が相互補完的に協力して取り組みを効率化し、経済性を高める」(九州電力)狙いがある。

 電源の共同開発の手始めとして、五井火力の運営会社「五井ユナイテッドジェネレーション」のJERA持ち分の一部を九州電力が今月中に取得する。取得金額は非公表。五井火力は1~3号機全てでリプレースを進めており、2025年3月までに全3基が運転を開始する見通し。

 九州電力は出資比率に応じて3基合計15万6千キロワット分の発電電力を独自に卸販売する見込み。九州電力が九州エリア外の火力電源に参画するのは今回が初めて。販売先については、エリア外の電力販売における内外無差別の問題などを考慮する。

 九州電力関係者は五井火力への参画について「自社で調達したLNGの安定した販売先を確保する意味合いもある」と語った。

 覚書の共同検討項目にはこのほか、燃料需給調整能力の強化も入った。LNGトレーディングの強化に加えて、新規上流権益の共同取得も視野に入れる。

 JERAと九州電力は、中国電力、四国電力、東北電力、北陸電力、北海道電力と共同で燃料アンモニアや水素の共同調達、輸送・貯蔵分野で協業を検討している。今回の覚書にも水素・アンモニアのサプライチェーン構築に向けた協力を盛り込み、検討を加速させる。

電気新聞2023年10月24日