東京電力パワーグリッド(PG)は、系統用蓄電池の試行運用を始める。栃木県那須塩原市の一部配電線に、出力50キロワットから2千キロワット規模の系統用蓄電池を設置する。2024年度からフィールド実証を行い、電力系統の混雑が緩和されるかを確認する。太陽光発電の新設と系統用蓄電池の設置を希望する事業者を対象に、8月25日から接続検討申し込みの受付を開始する。

 試行運用を行うエリアは関谷変電所(那須塩原市)の1号変圧器を電源とする6600V配電系統で、距離は約26キロメートル。このエリアは、太陽光発電などの再生可能エネルギーが大量導入され、電力系統の容量が逼迫する懸念が生じている。

 申込者は接続検討の回答を受けてから2年以内に接続を完了し、使用を開始する必要がある。指定時間帯は充放電ができず、午前7時から午後5時は放電できない。指定時間帯は東電PGが随時見直す。インバランス損失などは申込者の責任。どれくらいの規模の太陽光発電を接続可能かは「公表できない」(東電PG)としている。

 東電PGは新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の公募事業「電力系統の混雑緩和のための分散型エネルギーリソース制御技術開発」に採択された。

 同事業には早稲田大学、三菱総合研究所、関西電力送配電、京セラ、東京大学、中部電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナー(EP)、東京電力ホールディングス(HD)、三菱重工業と参加している。

 東電PGは今回の試行運用と合わせて、自ら系統用蓄電池を設置し、運用制御の評価を行う。

電気新聞2023年8月14日