西日本を中心とする豪雨によって、広島県三原市を流れる沼田川が氾濫した影響で、中国電力沼田西変電所(広島県三原市)が水没、供給停止を余儀なくされた。その影響で最大1万1500戸が停電。中国電力は一刻も早く電気を届けるため、各地から応援に駆け付けた電力会社4社と連携を取りながら、高圧発電機車を活用した復旧作業に全力を注いでいる。一方、四国電力は11日午後1時に豪雨に伴う停電を解消。最後はヘリコプターでポータブル発電機を現地に運搬した。10、11日に現地を取材した。
復旧作業の指令拠点となっている「やまみ三原運動公園」。同公園を所有する三原市の協力の下で復旧作業が進められている。現地には中国電力の応援要請を受けて、九州電力、関西電力、中部電力、北陸電力の車両と作業員も駆け付けていた。
復旧現場では、高圧発電機車を配電設備につなげて電気を供給する作業が行われていた。今回取材したのは、JR本郷駅前で作業をしている500kVAの高圧発電機車。2人の作業員が定期的に発電の状態を看守することで、電線に均一な周波数の電気を送っている。高圧発電機車を狭い道路に設置しないようにするなど、近隣へ配慮をしながら作業を進めていた。今後は長時間稼働し続けてきた高圧発電機車のメンテナンス作業が、安定供給の鍵を握るという。
指令拠点は、高圧発電機車とそれを看守する人員の管理を担当。ホワイトボードには作業の進捗状況が細かく記載され、各社が情報を共有していた。指令拠点は作業員の食事や仮眠の場としての機能も果たしており、つかの間の休息を取っている作業員の姿もあった。
復旧統括班長として最前線を指揮する中国電力の上田明正・送配電カンパニー担当部長・配電技術は、「とにかく電気を途切らせない。応援に来て頂いている電力会社も含めて、けがや病気がないよう安全に作業を進めたい」と、これからも続く復旧活動への意気込みを語った。
豪雨で水没した沼田西変電所を訪れると、既に水が引いた状態だった。変電所を囲む壁の様子から、水が2メートルほどの高さまで上昇したことがわかる。壁の上には、水で流されたとみられる草が引っ掛かっていた。
10日は水につかった配電用開閉装置(スイッチギア)の撤去作業が行われていた。クレーン車で慎重に吊り上げ、無事に搬出した。今後、変電所の復旧が進み、機能が回復すれば、高圧発電機車は役割を終え、指令拠点も撤収する予定だ。
電気新聞2018年7月12日
※西日本豪雨による中国電力および四国電力エリアにおける停電は、一部地域を除き11日までに解消。中国電力沼田西変電所も13日に復旧している。
<参考>
[西日本豪雨]中国電力、8日間で停電解消/被災変電所が復旧