起工式で玉串をささげ、工事の安全を願う滝本常務

 ◆25年夏から、年産700トン

 INPEXは12日、生産時に排出される二酸化炭素(CO2)を回収する「ブルー水素」の製造・利用実証設備の建設を新潟県柏崎市で本格的に始めた。2025年8月頃から年700トン規模の水素をつくり、水素発電(千キロワット)やアンモニア生産に活用。水素製造で発生するCO2を枯渇ガス田に圧入し、EGR(ガス増進回収)効果も検証する。ブルー水素の製造・利用実証は国内初という。

 INPEXの東柏崎ガス田平井地区に、水素製造や水素発電、アンモニア製造などの設備を建設する。今後は地上設備の仮設工事や基礎・舗装工事、機器据え付けなどを進め、25年3月に試運転を開始する。事業費は明らかにしていない。

 水素製造設備や発電設備などのEPC(設計・調達・建設)は日揮が担う。アンモニア製造設備のEPCは総合機械商社の第一実業が請け負う。

 運開後は、INPEX南長岡ガス田(新潟県長岡市)から供給する天然ガスで水素を製造。その過程で発生する年5500トンのCO2は、ガス生産を終了した平井地区の貯留層に送る。年600トンの水素は発電燃料として利用し、残りは液化アンモニア製造に用いる。

 実証は25年度末までだが、延長の可能性もある。実証結果を踏まえ、新潟県内にブルー水素製造プラントを建設し、30年頃までの商業化を目指す。

 現地で同日開催した起工式には、INPEXの滝本俊明取締役・常務執行役員や櫻井雅浩・柏崎市長らが出席した。式典後に滝本常務は「地元自治体と協力し、クリーンエネルギーを供給していきたい」と強調。櫻井市長は「石油から原子力産業というようにエネルギーの歴史を歩んできた柏崎市にとって、今回の実証は名誉なこと」と話した。

電気新聞2023年7月13日