政府は3日、第5次エネルギー基本計画を閣議決定した。再生可能エネルギーの「主力電源化」を初めて打ち出すとともに、原子力は依存度を低減させながらも「ベースロード電源」として活用を続ける方針を堅持。新増設・リプレースの記述は見送った。一方、国際社会からの懸念にも配慮し、プルトニウム保有量の削減に取り組む考えも新たに盛り込んだ。基本計画の改定は2014年以来、4年ぶり。

 基本計画では、まず「3E+S」の深掘りを図ることを明記。15年に定めたエネルギーミックス(30年度の電源構成)は据え置き、再生可能エネ「22~24%」、原子力「20~22%」、火力「56%」の各目標比率の着実な達成を目指す。

 パリ協定を踏まえ、新たに50年の視点からエネルギー転換や脱炭素化に挑戦する姿勢を示したのも特徴だ。再生可能エネは、経済的にも自立した「主力電源化」の道筋を追求。水素や蓄電池、デジタル技術の開発も進める。原子力は選択肢として残す一方、「安全性・経済性・機動性に優れた炉」の検討、バックエンドの技術開発も加速させるとした。

 今回の基本計画では50年に向けて、エネルギー情勢の不確実性が高まる点も指摘。一つの電源やシナリオにとらわれない、柔軟な仕組みを構築することを提起した。技術開発動向、情勢把握のスキームとして「科学的レビューメカニズム」の創設も盛り込んだ。

 一方、外務省からの意見を取り入れ、「プルトニウム保有量の削減に取り組む」との文言を初めて明記。そのための対策として、プルサーマルの一層の推進などを掲げた。

 石炭火力は5月に公表した素案から表現を修正。ベースロード電源としての役割は維持しつつも、高効率化・次世代化を促す。非効率火力は段階的に廃止させる。政府が重視するインフラシステム輸出に関連し、導入支援は原則として超々臨界圧(USC)以上の発電設備に限る方向性も明示した。

電気新聞2018年7月4日