東京証券取引所は9日、10月をめどに、温室効果ガス排出量の削減価値を取引する「カーボン・クレジット市場」を開設すると発表した。当面はJ―クレジットのみを取引対象とし、市場活性化を目的に無料で利用できるようにする。市場参加者は法人、政府、地方公共団体、任意団体。7月をめどに参加登録の受け付けを始める。開設後1年間の売買代金の総額は10億円程度を見込む。

 取り扱うJ―クレジットは、「省エネルギー」「再生可能エネルギー(電力)」「再生可能エネルギー(熱)」「再生可能エネルギー(電力および熱混合)」「森林」「その他」の6種類。来年度以降は「二国間クレジット制度(JCM)」のクレジットやGXリーグ超過削減枠なども取引対象に加えることを検討する。

 取引単位は二酸化炭素(CO2)1トンで、指値注文のみ。平日の午前11時半と午後3時に約定する。決済日は約定成立日の5営業日後とする。

 東証は昨年9月~今年1月にカーボン・クレジット市場の実証事業に取り組んだ。実際に注文したのは60者。そのうち売買が成立したのは55者で、売買代金は計3億2800万円だった。

 売買高は計14万8933トンで、内訳は再エネが計7万5255トン、省エネが計7万3619トン、森林が計59トン。1トン当たりの平均価格は再エネ(電力)が3073円、再エネ(熱)が1992円、省エネが1431円、森林が1万4571円だった。

電気新聞2023年6月12日