東京電力ホールディングス(HD)は6月27日、電気事業を取り巻く環境変化に対応した新規事業開発を加速するため、100%出資子会社「東京電力ベンチャーズ」を設立し、7月2日から事業を始めると発表した。これまで国内外のベンチャー投資などを担ってきた社内組織の新成長タスクフォース(TF)を分社化し、独立した権限と責任の下で意思決定を早める。新会社は事業開発のため、今後3年で100億円規模の投融資を行う方針。

 新会社設立は5月31日。資本金は500万円で、東京都千代田区に本社を置く。出向を含む7月1日時点の社員数は40人。新成長TF事務局長の赤塚新司氏が社長を務める。東電HDの見學伸一郎常務執行役が非常勤の取締役を務めるほか、アマゾンジャパン創業者の西野伸一郎・富士山マガジンサービス社長ら3氏が社外取締役に就いた。

 東電ベンチャーズはアイデア選定から事業立ち上げ、開発した事業のベンチャー会社化までを一気通貫で進める事業開発機能と、社内外ネットワークの構築機能を有し、迅速な意思決定プロセスの下で新領域の開拓に取り組む。

 事業開発の対象は、これまで手掛けてきた蓄電池ソリューション、ドローンを使ったインフラ構築、ビーコンによる見守りに加えて、分散型電源の普及や電力のP2P(ピア・ツー・ピア)取引など、抜本的な環境変化を見据えた新たな社会インフラ創出につながる事業を想定する。

電気新聞2018年6月28日