JICAが展開する「GX長期研修プログラム」

 国際協力機構(JICA)は、グリーントランスフォーメーション(GX)の戦略立案を担う海外人材の育成制度を立ち上げる。途上国の若年層を対象に、日本の大学院でエネルギートランジションやカーボンニュートラル実現に向けた戦略を学んでもらう。2年間の予定で、9月にも第1期生を受け入れる。育成後は母国の政府、企業に所属してGXの旗振り役となることを期待する。人的ネットワークを世界に広げながらGXを加速させたい考えだ。

 「GX長期研修プログラム」の名称で、JICAは海外の人材を募集している。途上国から年5、6人を集めて、エネルギーや脱炭素関連の技術などを学べる大学院に受け入れる。第1期生はインドネシア、バングラデシュ、ラオス、カンボジアの人材を予定する。

 JICAは海外の人材を対象にした研修を幅広い分野で行ってきた。これまで再生可能エネルギー技術や電力事業経営などをテーマとしてきたが、GXをテーマとするのは今回が初めて。脱炭素と経済成長を両立する戦略なども扱う。

 2年間学んだ海外人材は、母国で政府機関や企業に勤務してGX推進の旗振り役を担うことを想定。政府機関なら、カーボンニュートラルの達成に向けたロードマップ策定への関与を期待する。日本企業の現地法人での勤務も想定しており、日本と途上国の橋渡しとしての役割も求める。

 GXの取り組みには、火力発電所における水素、アンモニア利用、再生可能エネルギーの導入、環境債の発行など幅広い内容が含まれる。JICAは、GX長期研修プログラムを受講した海外人材を通じてGX推進の機運を高め、アジア諸国におけるカーボンニュートラルの早期達成を後押しする。

電気新聞2023年6月5日