東芝エネルギーシステムズ(東芝ESS)は16日、レノバに非FIT(固定価格買取制度)太陽光発電所のアグリゲーションサービスを提供すると発表した。レノバが村田製作所に環境価値を販売するバーチャルPPA(電力購入契約)が対象で、東芝ESSは9千キロワット以上の太陽光の計画値同時同量業務を手掛ける。発電計画と実績の差分を清算するインバランス費用を同社が負担し、レノバが営む発電事業のリスク軽減につなげる。
東芝ESSとレノバは10年以上の長期契約を結んだ。レノバが開発する全国の小規模太陽光を東芝ESSが束ねて同時同量業務を実施する。9千キロワットから始め、その後もレノバの開発状況に応じて取扱量を増やす方針。契約対象の太陽光は今年から順次、運転を開始する。
東芝ESSは発電事業者のレノバに代わり、電力広域的運営推進機関(広域機関)への発電計画提出や、市場取引を手掛ける。同社が計画値同時同量の義務を果たし、レノバが需要家に長期間安定して非FIT非化石証書を供給できる環境を整える。
インバランス費用も東芝ESSが負担する。インバランス費用は需給逼迫時などに高騰した例もある。今回のスキームにより、レノバの事業予見性向上につなげる。
東芝ESSは東芝グループによるバーチャルPPAでもアグリゲーションサービスを提供している。今回のレノバとの契約は、東芝グループ以外のバーチャルPPAを対象にアグリゲーションを提供した初めての事例となった。
東芝ESSは2022年5月に再エネアグリゲーション事業を開始した。各種PPAやFIP(フィード・イン・プレミアム)制度により再エネ電源にも同時同量業務が課される中、発電量や需要の高度な予測精度を武器に事業を拡大していく。
電気新聞2023年5月17日