Jパワー(電源開発)が、既存の再生可能エネルギー電源の更新に力を入れている。同社の発電設備容量の約35%を占める水力設備の一括更新(リパワリング)を順次進め、持ち分出力国内2位の陸上風力で設備のリプレースを急ぐ。電源の脱炭素化に向けて、現行の用地を有効利用しながら、経年化した再エネ設備を長く使えるようにするのが狙いだ。
Jパワーは2050年のカーボンニュートラルを目指すロードマップ「J―POWER BLUE MISSION2050」の中で、25年度までに17年度比150万キロワット以上の再エネ電源建設にめどをつけるとしている。17~22年度末に運開した再エネ電源の持ち分は43万2千キロワット。今後の開発によってさらなる積み増しを目指す。
牽引するのは風力開発だ。22年には英トライトン・ノール洋上風力発電所(持ち分21万4250キロワット)が運転を開始。環境影響評価中や建設・建設準備中の案件を含め、風力分野で今後約120万キロワット分の持ち分増加が見込まれる。
一方、水力は国内新規地点の開発が現状では難しい。Jパワー創立初期の1950~60年代に建設された老朽設備も多く、再エネ電源として長く活用するにはリパワリングが欠かせない。
3月には北海道の足寄発電所(計4万2300キロワット)でリパワリング工事が完了。水車ランナーの改良などで出力が増えたほか、機器操作方法を電動に変えるなど最新機器を導入した。岐阜県の尾上郷発電所(2万1300キロワット=更新後)や高知県の長山発電所(3万9500キロワット=同)でもリパワリング計画が進行している。
大規模水力である佐久間発電所(35万キロワット)の刷新計画「NEXUS佐久間プロジェクト」でもリパワリングが検討されており、20年代後半の着工を見込む。
風力のリプレースも進んでいる。2月にリプレース地点として初めて、北海道の「新島牧ウインドファーム」(4300キロワット)が運転を始め、23年度にも「新苫前ウィンビラ発電所」(北海道苫前町、3万600キロワット)など3地点が稼働する見込みだ。運開から20年程度経過した経年化設備を4千キロワット級などの大型風車に建て替え、設備稼働率の向上を図る。
電気新聞2023年4月11日
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