たこで石炭輸送船の推進を補助する

 Jパワー(電源開発)は23日、川崎汽船との間で、たこ(カイト)を利用して船の推進を助ける装置を石炭専用運搬船1隻に取り付けることで合意したと発表した。船舶燃料である重油の使用量を減らして、二酸化炭素(CO2)排出量を燃料油を使う輸送船と比べて平均20%減らす。2024年夏以降にカイトを搭載し、運用を目指す。

 川崎汽船が運航し、Jパワーの火力発電所向けに石炭を運ぶ載貨重量8万8000トン級の石炭船「コロナ・シトラス」に自動カイトシステム「Seawing(シーウイング)」を搭載する。既存の船舶に設置できるため、導入コストを比較的低く抑えられるという。

 シーウイングは船首部分に1基設置する。カイトの素材はポリエステル・ポリアミドで、大きさは検討中。毎秒約4メートル~21メートル程度の風速で使用できる。コンピューターの自動制御で上空300メートルを8の字を描くように旋回し、船を牽引する。ブリッジからのボタン操作でカイトの展開や格納が可能。

 シーウイングは、仏航空大手エアバスから分社化した仏エアシーズが開発した。川崎汽船とエアシーズは20年に日本海事協会からシーウイングの設計に関する基本承認(AiP)を取得。川崎汽船は同社の載貨18万トン級大型ばら積み船などでシーウイングの実用化を見込んでいる。

 Jパワーは自社で用船する他の石炭船へも、シーウイングを含む風力推進装置の導入を検討する。

電気新聞2023年3月24日