横須賀火力発電所構内に設置されたフィルム型ペロブスカイト太陽電池

 JERAは27日、積水化学工業と共同で、フィルム型ペロブスカイト太陽電池を火力発電所に設置するための実証実験を24日から開始したと発表した。火力発電所が対象となるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験は、日本で初めて。発電効率の測定や耐塩害性、設置方法、法規制対応の検証などを通じ、2025年度以降の大規模設置を目指す。

 ペロブスカイト型は次世代太陽電池の本命ともいわれ、高効率でありながら軽量で折り曲げも可能。JERAは、発電所構内の建屋壁面や重量に制約のある屋根などへの設置を想定している。

 実証実験は、横須賀火力発電所(神奈川県横須賀市)と鹿島火力発電所(茨城県神栖市)で開始。1メートル四方のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を角度0度、30度、90度の3枚設置し、それぞれ検証項目を確認していく。

 23年度は建築基準法や景観法といった法規制対応、設置方法、塩害による劣化状況などを検証し、24年度から横須賀火力で貯炭場の屋根や壁面に設置して発電効率などを測定。事業化の可否を判断した上で、25年度以降に横須賀火力で大規模設置を目指す。その後、他の火力発電所など太陽電池の設置可能な領域を拡大していく。

 JERAによると、積水化学工業が開発中のフィルム型ペロブスカイト太陽電池は、発電効率が15%程度と高く、耐久性に優れ、他社と比べて事業化に向けて先行しているという。火力発電所への再生可能エネルギー導入拡大を目指すJERAが、積水化学工業に呼び掛け、今回の実証実験が実現した。

電気新聞2023年3月28日