LNG、180万キロワット

 
 関西電力は20日、南港発電所(LNG、総出力180万キロワット)でリプレースの検討を開始したと発表した。従来の汽力発電方式から最新鋭のコンバインドサイクル発電方式に更新し、発電効率を現状の約44%から約63%まで約4割高める。発電所の二酸化炭素(CO2)排出係数は約3割減らせる見通し。運転開始時期の計画は2029年度とした。事業性評価の一環として、「長期脱炭素電源オークション」の活用を検討する。

※クリックで拡大

 環境影響評価法(環境アセス法)に基づき、20日に計画段階環境配慮書を経済産業相へ提出。大阪府知事へ意見を求めた。配慮書は環境アセス手続きの最初の段階。23日から4月21日まで、同社ホームページや関係行政機関で公表する。

 南港発電所は1号機が1990年11月、2号機が91年2月、3号機が91年10月に運転を開始。関電で最も古いLNG火力で、設備の高経年化が進んでいた。設備更新にかかる費用は非公表。設備更新を行う場合は26年度にも着工する見通し。配慮書の評価や詳細工程を検討し、29年度内に順次運転を開始する。

 関電はゼロカーボン火力に取り組むと表明しており、水素やアンモニア燃料の活用のほか、CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)技術の導入を検討している。ただ、足元ではまだ技術が確立していない。稼働率が低い電源は全国的に廃止が進んでいることから、暫定的な供給力確保対策としてLNG火力の重要性が高まっている。

 南港発電所は、関電のLNGの中では姫路第二発電所(総出力291万9千キロワット)、堺港発電所(総出力200万キロワット)に次いで3番目の出力を誇る。同規模の発電所は石炭の舞鶴発電所(90万キロワット×2基)がある。

 再生可能エネルギーの大量導入に伴い火力電源の利用率が低下。全国的に設備更新が停滞している。現在、国は中長期的な安定供給確保のための対策を検討している。

電気新聞2023年3月22日