九州電力は27日、グループの再生可能エネルギー事業を子会社の九電みらいエナジー(福岡市、水町豊社長)に一元化すると発表した。これまで九州電力本体が地熱と水力、九電みらいエナジーが主に太陽光や風力、バイオマスの開発・運営を手掛けてきた。今後は再エネ事業を九電みらいエナジーに集約し、脱炭素投資を加速する。まず来年4月に地熱事業を統合し、準備が整い次第、水力事業を統合する。約160万キロワット規模の電源を有する巨大な再エネ事業者が誕生する見通しだ。
同日、九州電力の穐山泰治取締役・常務執行役員・エネルギーサービス事業統括本部長と、九電みらいエナジーの水町社長が福岡市内で会見。穐山氏は「主要な再エネの『5電源』を開発・運営する事業者として先頭に立って事業を牽引する」と意気込んだ。水町社長は設備拡充や、新たなサービスの創出による高付加価値化に取り組んで「指数関数的な成長を目指す」と強調した。
九電みらいエナジーを承継会社として、九州電力の地熱と水力事業を統合する。異動人数は地熱で約80人、水力で約400人。水力のうち、揚水発電所を移管するかは検討を続ける。
統合後の九電みらいエナジーの電源構成は、水力が50%、バイオマスが21%、風力が14%、地熱が9%、太陽光が6%となる見通しだ。
統合後の社名は九電みらいエナジーのまま変更しない。九電みらいエナジーを株式上場させる考えは現時点でないとした。
九州電力は昨年4月に、グループの再エネ事業を再編する方針を発表。昨年秋頃をめどに意思決定するとしていたが、移管に当たり手続きが必要な許認可や契約の数が多く、一元化の決定に時間を要していたという。
九電みらいエナジーは再エネの開発だけでなく、関東、関西エリアで家庭や法人向けに小売電気事業を手掛ける新電力の顔も持つ。統合後は、法人を中心に二酸化炭素(CO2)フリー電気の販売拡大も目指す。
電気新聞2023年2月28日
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