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 電力の小売り・関連サービス分野におけるデジタル技術の活用は、前回紹介した顧客からの問い合わせ対応にとどまらない。スマートメーターの導入によりデジタル化された電力使用量データは電力会社にビッグデータとして蓄積されており、その活用は、これまでの「電気を売る」小売りの枠を超えた新たな商品・サービスへと発展する可能性を秘めている。今週は、その萌芽(ほうが)とも言うべき取り組みを、関西電力の実例から紹介する。

 

スマートメーターのデータを活用した「はぴeみる電」は進化中

 
 関西電力では、2012年から順次、電力メーターのスマート化を進めており、22年には管内全数のメーターが「スマートメーター」に置き換わる予定だ。「スマートメーター」の導入当初の主な狙いは、一軒一軒の建物などを訪問しメーター指示数を読み取る検針業務の省力化であったが、スマートメーターで得られる30分毎の電力使用量データを活用し、新たなサービスが次々に生まれようとしている。

デジタル化の現場@関西電力 4回目図版1
「はぴeみる電」画面は、様々なサービスのポータルとなっている

 新たなサービスのプラットフォームとなるのが「はぴeみる電」だ。

 「はぴeみる電」に登録した顧客は、電気料金や使用量をパソコンやスマートフォンで確認できるだけでなく、他にも様々なコンテンツを利用することが可能だ。ガスや水道なども含めたエネルギー料金を管理できる「エネルギー家計簿」、エリア内での電力使用量・料金ランキングを知るだけでなく、電気の使い方に関するアドバイスも受けることができるエリア別の「ランキング・レポート」、保有している家電機器の情報を登録することで、省エネ機器に買い換えた場合の想定メリット額が分かる「家電サポート」など、多くのエネルギー関連コンテンツがある。

 暮らし関連では、近隣商業施設の特売や優待クーポンの情報が得られるサービスのほか、新型プリウスPHVの走行距離や充電量などを確認できる「PHVつながるでんきサービス」もある。緊急時の駆けつけサービスや見守りサービスなどのサービス、日本郵便の「My Post」などのサービスも利用可能だ。17年11月からは、「Amazon Echo」に話し掛けると音声案内により電気・ガスの使用量や料金等を確認できるサービスを開始した。このように、「はぴeみる電」は現在も進化中だ。
 

家庭向けIoTサービスに参加し、健康生活もサポート

 

デジタル化の現場@関西電力 第4回図版2
関西電力は「IoTライフプロジェクト」において、データ分析・情報提供を担当する

 関西電力では、「はぴeみる電」を活用した新たなサービスの試行として17年8月、インテル社が実施する家庭向け宅内IoTサービス「IoTライフプロジェクト」への参画を発表した。このプロジェクトに参加するモニターに対して、自宅の二酸化炭素(CO2)濃度・室温・照度等の住環境に関する情報を「はぴeみる電」を通じて提供するものだ。また、同プロジェクト参画企業のサービスを通じて得られたヘルスケア関連情報と、電力使用量に関する情報を合わせて分析し、「はぴeみる電」を通じて健康的な生活をサポートするアドバイスも提供する。

 このように電力の使用量情報は、他の情報と合わせて活用することで、お客さまにとって新たな価値となる可能性を秘めている。今後も関西電力は、他社との連携を強化し、最新のデジタル技術をうまく活用しながら、お客さまにとって魅力的な価値を創造・提供していけるよう、模索を続けていく予定だ。

【用語解説】
◆スマートメーター
従来のアナログ式誘導型電力量計と異なり、電力をデジタルで計測し、メーター内に通信機能を持たせた次世代電力量計。

◆IoTライフプロジェクト
室内の温度や湿度などの住環境、住人の心身のコンディション、睡眠状態などを計測することで、最適な住環境を提案するプロジェクト。インテルや関西電力、エアウィーヴなど5社が参画し2017年9月~18年3月の半年間で実施している。

電気新聞2018年1月15日

<全4回・終わり>