電力10社がこのほど公表した1月のインバランス発生量によると、東京エリアの不足インバランスが23日正午前後に1時間当たり800万キロワット時を超えた。計画値同時同量制度が導入されてから最大規模。晴れの日にもかかわらず前日から降った雪が解けず、太陽光発電の稼働率が想定を大幅に下回ったことが主な要因だ。

 東京エリアのインバランスはこれまで余剰が多かったが、1月は余剰が前月比15.3%増の約2億7千万キロワット時、不足が同81.4%増の約2億8千万キロワット時と逆転した。低気温による電力需要の伸びや太陽光発電の稼働率低下が、想定を上回ったためとみられる。

 不足が顕著だったのは23日。午前9時~午後2時は1時間平均700万キロワット時に迫り、このうち午前11時~正午は832万5千キロワット時を記録した。

 この時間帯、東京電力パワーグリッド(PG)が補給した電力量は需要の約2割に相当する。同社が固定費を支払って今年度確保している400万キロワット余りの調整力(電源Ⅰ、電源I’)では、半分しか賄えない規模だ。

 これほどの不足が発生したのは、太陽光発電出力が想定を大幅に下回ったことによる。東京エリアの太陽光発電出力は正午前後のピーク時、約650万キロワット(17年12月平均)に達する。関東地方は22日に大雪に見舞われたが翌日は晴れの予報で、太陽光発電量が稼げるはずだった。

 日本気象協会エネルギー事業課の小笠原範光課長は「東京ではひと冬に約10回雪が降るが、20センチ超の大雪になることは珍しい。(降雪をもたらす)南岸低気圧の通過後、関東では晴れる傾向にあるため、翌日には解けてしまうことも多い」と解説する。今回はシベリアから強烈な寒気が入り込んだために雪が解けず、東京の積雪が8日間続くという「記録的な長さ」(小笠原氏)になったという。

 太陽光発電出力の振れ幅が大きいのは、この日が「例外」というわけではない。17年12月4日正午~午後1時に発生した658万キロワット時の不足インバランスのうち、7割は太陽光発電の出力低下によるものだった。

 東電PGは、一般送配電事業者が実需給の2日前に太陽光発電量を予測する「FIT特例制度(1)」に従い、同時間帯の太陽光発電量を約680万キロワット時と予測していたが、実際はその3割に満たなかった。

 太陽光の導入量は今後も拡大する見通しで、想定が外れた場合の影響はますます大きくなる。

電気新聞2018年3月16日

 
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